2008年06月14日

まさにデッドエンド

抱いて寝る・・・、いやいや洗面所で読む本を探してパラパラとザッピングを繰り返してたら、あっさり読み終えてしまった。

まさにデッドエンド
よしもとばななさんの『デッドエンドの思い出』(文春文庫)。それ。

この前も書いたのだけれど、ばななさんの小説は何と言ったって読みやすい。さらさらーっといける。淀むところなんてほとんどない。それはたぶん、登場人物の「潔さ」にもあるのだと思う。迷いはあるが突き抜けて前向きである。でも、ツーッと涙が流れるところなんか、僕は大好き。心と身体の絶妙なバランス感覚。ばななさんの登場人物は多くの場合、そういう人のように思う。何だか勇気づけられる。「普通の風景ってステキだな」なんても思える。これが僕にとってのよしもとばなな、だった・・・。

でもねー、久しぶりに読んでみるとさ、何だかそういうばなな的なものがより先鋭化されていてね、うーん、食傷気味になる。「欲張りだよ」って気分。


毒混入事件、レイプ、児童虐待、失恋・・・。なんか登場人物を取り巻く状況や背景がキャッチーに過ぎる。何かに媚びてる。


そして、こんなに具だくさんなのにさ、みんなあまりにも潔すぎる。相変わらず。
そういう事件や過去の経験をさらっと生きていく人の姿ばかりが描かれている。相変わらず突き抜けている。でもね、うーん、うまく言えないのだけれど、これってストーリーじゃない。何だかばななさんの哲学みたいなものが、繰り返し執拗に表明されているだけのように思えてならない。だから、どの短編を読んでも同じ気分になる。


彼女はもっとうまいストーリーテーラーだったように思ってたのだけれど、いったいどうしてしまったのだろう。『哀しい予感』や『アムリタ』などで感じたゾクゾクーッてのがまったくない。もう読み始めから「言いたいことが分かる」。「(作者が)言いたいこと」をあっさりと感じてしまう本なんて・・・申し訳ないけど、正直すごくつまらない。


なのに・・・
「これが書けたので、小説家になってよかったと思いました」なんて本人のコメント。ホントにそうなのか?何も分かってないのは僕かもしれない・・・よく分からなくなっちゃった。「思想家になってしまったら小説家は終わり」って誰の言葉だったっけ。ばななさん、それってマジでデッドエンド(行き詰まり)なんじゃないのか・・・。





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Posted by sky1973629 at 21:26│Comments(0)本を読む
 
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