2008年04月17日

虚無感について思う

よく僕のブログを見てくれる、凛MMさんが「虚無感」について書
いている。→花曇りな日々


僕はとてもその気持ちが分かる、ような気がする。
というよりも、僕の場合にはそれは「焦燥感」と「ここではない何か
感」という感じ。

僕はずーっとそれに苛まれてきた。
その発端は、今でもよく覚えている。オーストラリアに旅立つ契機
となった、高名な『地球の歩き方』に掲載されたキャッチコピー。

「ここではないどこか。ここにはない何か。ここにはない自分。」

よく覚えていると言いつつ、言葉の詳細は忘れているが、たぶん
こんなコピーだった。単純な僕はドーンとやられた。

今の下世話な自分を卑下した。
今の境遇を虚しく思った。
今の自分を疑った。
そして、
焦った。


こんなこと、してられない。
推薦入学までして入った大学を辞めようとまで決心した(それは
当然大学側が許さなかった。だって推薦だから)。

だから休学して、バイトも全部辞めて、外国にいくための資金を
稼ぐために名古屋に渡った。もう心には「ここにはない何か」を血
眼で探しまくっていた。

名古屋では実に様々な経験をした。今や懐かしいバブルの時代
である。客のべーエムでぶっ飛ばした。夜の世界の不思議さを味
わった(悪いことも・・・)。おねえ、おこげ、夜逃げ人、賭博師など、
実にいろいろな人に出逢い、交わり、利を得、とばっちりも食った。

その後、近いからというくらいの理由で半年、オーストラリアに滞
在した。お金がない僕はバックパッカーばかり転々とし、それだけ
にいろいろな経験をした。幻の像にも襲われた(笑)。車で崖から
軽く転落した(涙)。バッテリーが爆発し、やけどもした(痛)。


そして、帰国。
なんとなく自分が様変わりしたような陽気な気分で、沖縄に帰って
来た。でも事実。何も僕は変わっていなかった。相変わらず鈍才で、
相変わらずババばっかりひいているような気分だった。誰も分かっ
てくれない、という勝手な気分で、

また焦った。


今度は勉強をした。割愛するが、結局、また戻るところは同じ。僕
は変わっていなかった。いや、変わった部分はもちろんある。おと
なになったのかもしれない。そして僕は気がつけば20代も終わり
を迎えていた。

そしてまた焦る。


もういいよ。というのが今の正直な気分である。もちろん、今もこの
焦燥感からは解放されていない。夜中に用事で車を走らせると、
訳も分からない高揚感が押し寄せ、「おい、このままでいいのか」
と誰かが僕につぶやく。


「もっと偉くなれるかもしれないぜ」
「もっとラクな生活があるかもしれないぜ」
「もっと女の子にもてるかもよ」
「もっともっと・・・」

と際限なく欲望の声は僕をとまどわせる。

でも家に帰ると、あまりにも凡庸な時間にまた組み込まれる。
妻一人。子ども二人。仕事は教員。


もういいよ。というのが今の正直な気分である。
誰かこのループを止めて欲しい。とも思う。そして、この言葉を
改めて胸に刻み、折り返しを生きる。



そんな風に悩むのはやめなさい。放っておいても物事は流れるべき方向に
流れるし、どれだけベストを尽くしても人は傷つくときは傷つくのです。人生
とはそういうものです。偉そうなことを言うようですが、あなたもそういう人生
のやり方をそろそろ学んでいい頃です。あなたはときどき人生を自分のやり
方にひっぱりこもうとしすぎます。精神病院に入りたくなかったらもう少し心
を開いて人生の流れに身を委ねなさい。

(村上春樹著『ノルウェーの森(下)』講談社1987/p.216)



長くなりましたが、言いたかったのはここだけです(>_<)。
そんな風に悩むのはやめようかと、最近は自分に言い聞かせて
います。でも、すべて捨てた訳ではありませんよ。物事は流れる
べきところに流れる。それに少し身を委ねてみようかな、というこ
とです。拾うときはどうしても拾うはずだし、捨てるときはどうして
も捨てるはずです。そういう身体的なものをもう少し信じてみたい
な、という思いです。

頭でっかちの自己実現的人生から解錠されることが、幸せでは
ないか、という思いです。


凛MMさんの話しからはずいぶん遠いところまで来てしまった。
ごめんなさい。



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Posted by sky1973629 at 00:16│Comments(0)日常
 
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