言葉にできない

sky1973629

2009年10月15日 01:54

谷川俊太郎さんの「かがやくものさし」に心をさらわれる。


それは ものさしだった
みたこともない
おおきな ものさしだった
(略)
あきのひに かがやきながら
いったいなにを はかっていたのか

おもわず ひざまずいた
わたしの めから
なみだが こぼれた
ああ なぜ
ああ どうして
わたしは けしごむを
なくしてしまったのだろう

『よしなしうた』所収


正直分かんない。ものさしって、けしごむって。
でもじんわりと迫るものがある。
僕が手に入れたもの。
そして、そのせいでさ、僕が失ったもの。

ちょっと肌寒い風が、空調のきいた部屋で流れる。
何なんだろ、この思い。

でもでも、それ以上考えたくない。この思いで十分だ。
僕は言葉にしすぎる。すべてを解釈したがる。答えを。

言葉にできないことってあっていい。
それをそのまま取っておいていい。手の届かない所に。


僕が子どもとのやりとりで好きなのは、そういう場面。
言葉にできない笑顔があり、言葉にできない涙がある。

なぜ?どうして?って、聞かなくてもいい場面がある。
否、聞きたくない場面がある。非科学嫌悪症の僕でも。


そこに流れる時間には、人間と人間が織りなす掛け替
えのないコマがある。時に心が通わず痛い思いもする
そんな他人と、時間を共にできて良かったな、と思う
そんな瞬間がある。


たぶん、この本の読み過ぎだと思う。

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